*Pure love*
七章 in箱根 モヤモヤ

 夏祭りに行ったり,宿題を進めたり,色々して,気が付けば八月になっていました.
 そう,忘れかけていましたが.

 第一週に箱根への校外学習があるんです.

「佐藤さん、望月さん、今回の箱根、よろしくね」

 出発前、同じ班になった岸妙ちゃんから声をかけられた。あまり話したことのなかった子なので今回、一緒にいるのは初めてだった。こちらも無難によろしくと返す。

 みんなのボストンバックを積んだバスに揺られて数時間。車内はカラオケで盛り上がり、みんなの気分は絶好調な内に箱根に着いた。

 曇っている空の下。箱根で泊まる旅館まで、荷物を運ぶ。
 全員入って、荷物を部屋まで運んだときには、外は雨が降り始めていた。

「あぁ、降ってきちゃった。明後日の班行動は晴れるかな」

 二泊三日の今回の校外学習は,二日目までスケジュールが決まっているんだけど,三日目は好きに観光をしていいというものだった.
 自由ということで,どの子も顔を輝かせて計画を練っていた.
 
「うーん、曇りらしいね。でも結構天気変わりやすいみたいだから、晴れてても後でザーっと降られるかもよ」

「でも楽しみ。お土産買いたいな」

「そうだねー」

「その前にうちの班のダメダメ男子四人をどうにかしなくちゃね。権限は私が持ってるから」

 出来れば織本君たちと組みたかったんだけれど,男子は花香と,女子は桜田君と組みたかったようで,私たちが組むことに猛反対を受け,残念だけど別の班になってしまった。

 それで一緒になっちゃったのが,これまたうるさい男子の集団で,私たちの話なんかちっとも聞いてくれやしない.特に花香に興味もないみたい.

「うわーそうだった。頼りになるー」

「勝手な行動させないように頑張ろうね」

「任せといて!援護よろしく!」

 三人で部屋のなかでお喋り。
 その日は、事前学習をして、ご飯を食べて、お風呂にはいって終わった。

 ***


 最終日の3日目。楽しみにしていた自由行動の日だった。

「ほら、これからここ見るよ。どっか行かないで!」

 花香が、男子を呼ぶ。
 行動の最中に寄ったそのお土産屋さんには、ご当地ストラップ、お菓子、それから伝統工芸の小物類が並んでいた。

 目を輝かせる女子と対象的に男子は仏頂面。

「全然つまんない!先にいかせろよ」

「だめ、班行動でしょ。別で男子が行きたいのいれたでしょ。ちゃんと平等になるように組んだよ」

 言い返せないようで、むっとした男子を横目に買い物を楽しむ。

「あっ、私ご当地ストラップ欲しい!」

 妙ちゃんがはしゃいだ声をあげる。

「じゃあ、あっちいこう」

 結構たくさんの人が集まっている,ストラップコーナーへ行った。

 お馴染みキャラクターから不思議な知らないキャラクターと、バリエーションは豊富だ。

「あっ、あれ桜田君じゃない?織本君もいるよ」

 最初に気づいたのは妙ちゃんだった。

 お菓子売り場のほうで、男子達が集まっている。探してみると、確かに二人の姿が見えた。
< 26 / 50 >

この作品をシェア

pagetop