わがまま姫♀



とりあえず、流に熱はうつしてないみたいだ。



「…お前、なんで床なんかで寝てた?」



布団に潜ったままの流が、眠そうな声で言う。



「だ、だって。流が…」

「俺がなに」

「あたしが近くにいたら、風邪ひくと思って…」

「はぁー…」



深く溜め息をつく流。



呆れられちゃったかな。



「くだらない」

「…え」

「俺は解熱剤でもうっとけばいんだよ。けどお前は、寝て治さないとダメだ」

「なに、それ…?」



どういう意味?



解熱剤って、そんなの流の体が辛いじやん。



だけど流は、それ以上はなにも言わなかった。



「次からはベッドで寝ろ。だいたい、なんで床なんだよ」

「そっ、それは…その…」



「少しでも流の近くにいたいから」、なんて、口裂け女になっても言えないよ。



「…それで、熱下がったんだろうな?」

「え、う、うひゃ…?!」



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