わがまま姫♀



誰がいつ、どこで決めたんだっつーの!!



そう言いたいのを我慢して、ここは素直に左手を流に差し出す。



流はポケットから出した物を、あたしの薬指にソッとはめた。



………。



「……え…」



いくらバカでガキなあたしでも、これがなんなのかくらい分かる。



「俺が、死ぬまで一緒にいてやるよ」



………。



あたしはただ、目をパチパチさせながら、左手の薬指に光る指輪を見つめることしか出来なかった。



「だからほら…帰るぞ」



クルッと180度方向転換して、流は再びスタスタと歩き出す。



「だから」の意味が、いまいち不明だけど。



そんなこと、どうだっていい。



“いつか”



そんな曖昧な約束なんていらない。



“今”



伝えなきゃ。



後悔を繰り返すだけ。



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