わがまま姫♀



「なにボーっとしてんのよ?」

「……別に」

「ふーん?」



我に返った。



今は、授業と授業の間の短い休み時間。



「流くーんっ!」



あーあ。



めんどくさそうなのが来た。



「これ、調理自習で作ったんだけど、よかったら食べて?」



………ゔ。



「俺、甘いもの嫌いだから、悪いけど無理」

「あ、そーなんだ!じゃ、来週は甘くないの持ってくるねっ」



そう言うと、どこの誰だか分からない女子生徒は、教室を出ていった。



俺にとって、女子に絡まれることほど面倒臭いことはない。



「いいよね、モテ男は」



横から声が聞こえ、そちらに顔を向ける。



ま、誰だかもうお分かりだろう。



「なんで貰わないの、もったいない。あたしが食べたのに」



コイツ、金持ちのくせに。



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