お熱いのがお好き?
4歳になったばかりの時に離れてしまったからだろうか。
いつまでも、赤ちゃんのような気がしてしまう。


半年に1度、麻紀が母親に戻れる日。

鷹揚で話のわかるママだと思われたい。


子供達に、心から旅行を楽しんでもらいたかった。


「今はスチュワーデスなんて言わないよ。キャビンアテンダントっていうんだ。」

竜聖の冷たい声がした。


はっとして麻紀は、梨花の向こうにいる竜聖を見る。


竜聖は黒目だけを動かし、見下すような目付きで麻紀は見ていた。


それは、前夫・真和にそっくりだった。


竜聖は、去年会った時から、黒いフレームの眼鏡を掛けるようになった。


『竜聖、眼鏡、ハリーポッターみたいね。』


箱根に向かう小田急の中で、麻紀は褒めたつもりで言ったのに、竜聖は少し眉を歪めただけだった。



ーー扱いづらい子……


初めて竜聖の気難しさを感じ、麻紀はしらけた。


前夫にもそういう面があったから、遺伝したのだろう。


知らず知らずのうちに、麻紀は小さく舌打ちしていた。


チッ…という音に、隣席の梨花が驚いたような顏をして麻紀の顏を見る。

やばい、と麻紀は焦った。


「あ、赤ちゃん、うるさいねえ。早く泣き止まないかしら!」


慌てて、前方の席で泣き喚き続ける赤ん坊のせいにした。





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