トシノサレンアイ- 狼と仔猫 -

「おはよう、姫君」

「あれ……あたし、寝ちゃったんだ」


昨日の記憶があんまりない。

うーん。確か……

あたし、初めて他の人に“家庭の事情”を話しちゃったんだっけ。

担任の先生にも今まで上手く嘘吐いて誤魔化してきたというのに。

……お陰で三者面談とかすごく面倒だったけど。


「明日から期末だろ?今日帰ってきたらビシバシいかせて貰うからな」

「うぅ、楽しみにしてます……」


また泣き腫らしてしまった瞼を少しでもまともに見せるために冷水で顔を洗う。

だけど、昨日のことを想いだして再びジワリと目頭が熱くなる。

アズマの優しさに触れる度に涙が溢れてきちゃう。

あたし、おかしい。

こんなに泣き虫なんかじゃなかったはずなのに……


「わりぃ、セツナ。今日早出だから出社すんぜ!」

「あ、うん!お仕事頑張ってね!」

「おう!今日はその分早く帰ってくるからな」

「はーい!」

「んじゃ、お前も気を付けて学校行けよ」


パタン、とドアを閉める音を確かめてから、あたしはタオルで顔を覆って涙を拭った。

助かった。

流石に朝から泣き顔を見せるわけにはいかない。
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