ニ択 地球
幾多は笑い、

「種の存続は、どれだけその種が続いていくかだ。それは、新しい命こそ尊重されるべきだ」

女の横を通り過ぎた。

「俺は…まだ甘いな。やつほど強くはない」

「幾多様…」

「人間は勝手に、滅ぶかもしれないな。新しい命よりも、しがみつく命を重んじているならな」

そのまま、幾多はその場を去った。




「人間は自分勝手で、見識も狭い」

久沓は、思い出していた。

「彼女は、生きる資格を得る為に努力をしていた。人間に生きる権利はあっても、生きていく権利はない」

久沓は、彼女を思い…涙した。

「金と偽善…の為にしがみつく者達に制裁を!」




「幾多様?」

女の声に、幾多は足を止めた。

「なあ…知っているか?」

「はい?」

「この世界の食料は、すべての人間を食べさす量はない。なのに、この国は…福祉の名のもとに、死にゆく人々に垂れ流していり」

幾多はせせら笑った。

「すべての人間の幸せを考えるならば!食料を確保するべきだ。地球単位でな」

幾多は、頭をかいた。

「でも、人間はできないよ。人間だからな」





「すべての人間が生きれない世界で、綺麗事を語るな!」

久沓は、新たなる爆破を敢行した。




「この国は、選択したのさ。今生きていく人間から、金を搾取することを。未来のことを考えずに」

幾多は、女に振り返った。

「こんな世界で、君は子供も生むのかい?生物の本質ではなく、自分の子供の未来を憂っても」
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