ニ択 地球
さらに、他人の目を気にする文化が、時には罪を隠す。それが、血縁ならば尚更だ。

「それでも、俺は…パンを配ろう。例え悪魔と言われても」

久沓はポケットの中から、パン…爆弾を握り締めた。

久沓が助けた女もまた、日曜礼拝に通っている人であった。

久沓の彼女によく挨拶をしてくれていた。





助け出された女性の証言により、息子の罪は暴かれた。

しかし、火をつけた者に関しては…。

「神です」

女性は、それ以上を口にすることはなかった。






「罪と…恥か」

長谷川は、かつて久沓が語った言葉を思い出していた。

日本人は、罪よりも恥を重んじる人種だと。

だからこそ、隠匿が多い。

「所詮…島国さ。なのに、神が多い。己の中に神がいないのにな」

苦笑する久沓の言葉を思い出しながら、長谷川は目を瞑った。

もう会うことがないだろう友の顔を、思い出しながら…。
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