幼馴染み

真と香織

山の上から見ると、自転車は神社の横の木に引っかかっていた。

急いで神社に向かうと階段に竹箒を持った真がいた。

バキッと箒で頭を殴られた。

『痛っ、俺じゃないぞ。母さんがやったんだ。』

『知るか!自転車には「三島 真」と名前が書いてあるぞ。』と尖った口で怒られた。

こいつがマコちゃん。通称、神社のマコちゃんといい、本名は『大滝 真(まこと)』二十四歳、私と同じ漢字だが読み方が違う。

『自転車を木から落とすからなんか棒みたいなのないか?』と聞くと、真は怖い表情で睨んでいた。

私は思わず『何か顔についてるか?』と聞くと、真は怖い顔から呆れた顔に変わり、

『幼馴染みに久しぶりに会ったのに、挨拶も無いわけ?』とすねてしまった。

『ああ、挨拶ね。久しぶりだな真。』笑って言った。

真は勢いよく神社の裏庭に走っていき、物干し棹を地面に引きずりながら持ってきた。

真なりの精一杯の照れ隠しなのだろう。

私は『身長低いんだから無理すんなよ?真。』

というと、真は引きずらないように物干し棹を持ってきて『バカにしてんの?』と私の腹に鉄拳を入れた。

『あうぅ!』と私は男らしくない言葉を発してしまった。
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