おかしな二人


「待たせたかな」
「別に」

紳士ぶった依頼者が、軽く手を上げ向かい側の席に腰を下ろし、あたしには隣に座るよう促した。

そんなあたしを、目の前の彼女がきっと睨む。

恐いですって……。

彼女は、睨んでいた目をすぅーっと細めると、吸っていたタバコをグニグニと灰皿でもみ消し腕を組む。

そのタバコが、まるであたしでもあるかのように、グリグリと力強く、これでもかってくらいにグリグリ。

そんな姿に、脳みそ足りない分、力技でくるんですか? なんて失礼な事を思ってみたり。

そんな彼女がグリグリしたタバコのフィルターには、べっとりと口紅のあと。
ついでに、テーブルの上に乗ったコーヒーカップにもべっとりとした口紅。

それを見た瞬間、確かに頭が悪そうだと感じた。


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