おかしな二人
「バカにしないでよっ!!」
ガッと立ち上がったかと思ったら、お冷のグラスを乱暴に手に持ち、バシャッと豪快に頭から水浸しだ。
「冷たい……」
何故。
何故、そうなる……。
「落ち着けって……」
「落ち着いてるわよっ!」
イヤイヤ、全然。
全く持って、落ち着いていないでしょうよ。
だって、水を引っ掛ける相手、間違ってますよ。
なんで、あたしにぶっ掛けるよ。
綺麗にブローされたばかりの髪の毛から滴る雫。
買ったばかりの服も濡れていった。
「もういいっ! あんたにくれてやるわよっ、こんな男っ」
そう言うと、ガサッと現金が入っているであろう封筒を掻っ攫い、彼女はズカズカと行ってしまう。
バカにするなと言いながらも、お金はしっかり受け取るんですね……。
しかも、要らないですし、こんな男。