おかしな二人


こうやって、のんびりと景気を見るなんてことも、ここずっとなかったなぁ。

毎日仕事に明け暮れて、考えるのは、あといくら借金があるかってことばかり。
お金の事ばかり気にして、自分の身なりに気を遣うこともなく、ただひたすら過してきた。

それが、今はこんな風に外をぼんやりと眺める時間が持てるなんてウソみたいだ。
借金はまだまだたくさん残っているけれど、以前の生活より心にずっと余裕がある。

あたしは、うんっ、と両手を突き上げて大きく伸びをし、水上さんの眠る寝室へ足を向ける。

控えめなノックを数度すると、中から返事が聞こえた。
どうやら、既に起きていたらしい。

「朝食の準備、できてますから」

声をかけてキッチンへ戻り、ホットサンドを焼き、熱いコーヒーをカップに注ぐ。
それらをテーブルに並べていくと、水上さんがストンと席に付いた。


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