おかしな二人


夜の繁華街は道が込んでいて、タクシーはなかなか前に進まない。
渋滞をやっと抜け出しスムーズに走り出した頃には、既に約束の一時間が経とうとしていた。

ヤバイ、ヤバイよぉ。

携帯のディスプレイに表示されている時刻を何度も見ながら、早く早く、と後部座席で前のめり。

いくら、車内で前傾姿勢になっても、スキーのジャンプじゃないんだから、一気に距離を稼ぐなんて事はできやしない。

ていうか、ここで飛んだらフロントガラス突き破るけどね。
って、どんだけ石頭だよ。

仕方なく、運転手さんを急かす。

「あの、もう少し急いでもらえませんか?」

あたしの言葉に、これでも結構、出してますよ。と言いながらも、運転手さんが更にアクセルを踏み込んでくれた。

けれど、運転手さんが頑張って出してくれたスピードとあたしのジャンパー並みの前傾姿勢も虚しく、マンションに辿り着いたのは、十一時を三〇分も過ぎた頃だった。



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