おかしな二人


『おい。聞いとんのか?』
「えっ。あ、うん。聞いてる。聞いてるよ」

てか、聞いてるから、動揺しているんだけどね。

あたしが、微妙な動揺を隠し切れずにいると、受話器の向こう側で水上さんを呼ぶような声が聞こえてきた。

『おーい、えいじー。何しとんねん。さっさと行くぞ』

この声は、哲さん?

『すまん。哲が呼んどるから、もう切るわ。また、連絡する』
「うん」

『あ、十時には、マンションに帰っとれよ』
「わかってる」

『ほなな』

あたしの動揺など微塵も感じていないのか、電話は呆気なく切れた。

それにしても。

「一緒にって……、マジですか……」

人がごった返す駅構内で、あたしは独り言を洩らした。

受話器を握る右手は、繋いだ時の手のぬくもりを思い出したようにじんわりと温かくなっていく。

左手には、さっきショップで買ったプレゼントの入った袋が微かに揺れていた――――。


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