おかしな二人


「明日。今日の詫びに付き合え」
「明日ですか?」

「予定、ないんやろ?」
「ええ、ないですけど……。でも、クリスマスですよ。お友達とかと一緒じゃなくていいんですか?」

彼女は、居ないと言っていたから、あたしは友達づきあいの事を考えてそう訊ねた。

「ええんや。とにかく、明日付き合え」

有無も言わさずとは、このことでしょう。

ひと睨みされたあたしは、蛇に睨まれた蛙。
取り立て屋に囲まれた債務者。
やくざに因縁をつけられた小市民の如く、首を縦に振りました。

何ならジャンプでもして、小銭のチャリンチャリンなんて音もさせましょうか?

水上さんは、あたしの肯定を確認すると満足そうな顔つきをした。

まるで、明日は存分に可愛がったるさかいなぁ、といやらしい顔つきで弱い者を苛めるチンピラのよう。
柄物の派手で趣味の悪いシャツを着せたら、よく似合いそうだ。

やっぱり、小銭ありますよぉ。ってな具合にジャンプしとこうか。


< 436 / 546 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop