おかしな二人


縋るような目をして一人動揺していると、玄関から声がかかった。

「行くでぇ、早くしぃや」
「え?」

早くって、あたしも一緒?

一緒に連れて行ってくれるなんて、思いもしなかった。
てっきり、怒って一人で食べに行ってしまうのかと思っていた。

あたしはおんぼろの上着を羽織り、急いで玄関へ行く。


帽子を目深にかぶった水上さんは、おどおどしながら後ろをついて行くあたしを連れて、マンションからしばらく歩いた先にある和食屋へと入っていった。


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