おかしな二人


グラスを持ったままのあたしの横を通り抜け、冷蔵庫を開けるとペットボトルの水を取り出し飲み始める。

あぁ。
水って、それか。

なんて、贅沢な。

浄水器までついてるんだから、水道水で充分じゃん。

そんな贅沢を当たり前にしている行動に、あたしのほうがムッと来てしまう。

世界には、濁った水でさえありがたがる人たちだって居るんだよ。
全く、どんだけリッチマンなんだ。

この、小ブルジョワめ!

チロリとそんな思考で水上さんを見ていたら、それ以上の視線で見返された。

「なんや?」

あたしのムッとした顔に向って、片眉をクイッと持ち上げる。

それでもめげずに、この、贅沢者めっ! なんて思ったわけだけれど、主従関係を考えてやめた。

ああ、呪わしいこの縦社会。


< 71 / 546 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop