曖昧HONEY
「え…?」
その質問に、深い意味はなかったと思う。
単なる社交辞令。
でも、そのときの私は即答できるような状況じゃなくて…
できれば、知られたくなかったから…
「りゅ…龍兄は?ここで何してるの?」
質問で、逃げた。
「俺?俺はバイト。」
「へー…どこのホストクラブ?」
「はっ?バカ、違うよ。俺はあっち。あそこの路地裏のバーだよ」
「…アロハで?」
「俺は裏方なの。一応、未成年だし?」
「ふーん…」
自分でも、不思議だったのを覚えてる。
久しぶりなのに。
昨日会ったばかりみたいな、普通の会話。
まるで、昔に戻ったみたいな…
「ナオちゃん!」
でも、それはほんの束の間で。
雑踏の中から聞こえてきた声にぶち壊された。
「ごめん、お待たせ!早く行こう?」
近くのコンビニの袋を片手に、私に向かって手を振っているのは、
遠目に見ても、かなりチャラけた感じの男。
そいつの視線が促す先にあるのは…
「……彼氏?」