ラブ♡スリップ



向こうに行ったら。


わたしたちはこのことを覚えているのかな?


会えるのかな?


また、あの歩道橋でぶつかることができるの?


「お前のこと教えてよ」


「わたしのこと?」


「名前しか知らない。
だから、向こうで育ったりんごを教えて?」


それから、わたしたちはお互いの話をした。


新しい家族ができたこと。


わたしは高校生であること。


白雪姫の本を買って読み歩いていたら出会ったこと。


彼氏はいままでいたことなんてなくて。


「へぇ、意外だな」


「そう?」


「もう、彼氏いるのかと思ってた」


「いたことありません」


そんな話をしながら、
わたしたちは寝ることなく夜を明かした。



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