俺の姉(+従姉)たちが個性的すぎる件について
序章 とりあえず…自己紹介

のどかな昼休み。

わいわいと騒がしい教室で俺は一人、弁当の蓋を開けた。

今日は、ごま塩ご飯と俺の好物のハンバーグが入っている。

とても静かな気持ちで食べ物に手を合わせた。

「いただきます」

まず、目で愛でる。

そして、いざ、ゆっくりと口に運んでいる途中で

「時雨ー」

…雑音。
いや、今のは空耳だ。

集中せねば。

好物が入ったお弁当を食べるという、神聖な儀式を邪魔されるわけにはいかない。

「時雨?」

無心、無心。

…集中、集中。

「時雨!」

……。

「時雨、時雨、しーぐーれ」

「だぁ!もー、うっせぇ!」

だってお前が反応しないからだろ?と言いながら、ソイツはケラケラ笑った。

栗城 青磁-Kuriki Seiji-

俺の親友である。幼稚園から一緒というよくある設定。

にしてもだ!

「青磁!てめぇ、俺の昼ご飯を邪魔しやがって」

「一緒に食べよって言ってたじゃんか」

…言ってたっけ?

俺が必死に記憶を辿っている最中に、青磁はさっさと俺の目の前の席を確保していた。

「さぁ、食うか、お昼ごはん!」

次々と机の上に中身を出してくる。

「お昼ご飯…ねぇ?」

はい、ここで青磁クンのお昼ご飯を御披露目!

苺練乳パン、

四種のチョコパン、

フレンチトーストのメープルシロップがけ…

そして極めつけの

『いちごみるく』!

「おやつか!!じゃなきゃお前は女子か!?」

「別にいーじゃん」

うっさいよ、と言いながらいちごみるくのパックにストローをさしてくわえた。

青磁は甘党なのだ。

それで、見た目が犬系男子ならピッタリなのだが、

こいつの見た目

眼鏡、さらさらで黒の短髪、ある程度きちっと着た制服、かつイケメン…

…そう

『真面目君』なんだよ!!

それでもって、甘党なもんだから、ギャップ萌えとか言って少数の女子から人気がある。

「ってか、バランス悪いだろ、それ」

「細かいよ。姉ちゃんたちの影響受けすぎだろ、お前」

「…」

本当だから、言い返せない。
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