桜色の川と君の詩
路地裏の少年

「やっぱり、今月くらいで帰るのか?」

「ああ、そうする」

勇次は答える。


故郷の広島には高校から付き合ってる彼女がいる
もう卒業の見込みもついてるし、帰ってバイトしながら就職活動するのが勇次の希望だ…


付き合いが長いのでわかる


勇次には学生最後の行事とか卒業式なんてものは、故郷に帰るにはなんの未練もない事なんだ


故郷では彼女も待っている


「んじゃ、あと少しの期間、楽しもうぜ」


「ところで由希さん、啓介にナンパされよったん?啓介も困ったもんじゃろ」


由希は勇次のストレートな質問にキョトンとしたあと微笑んだ


「んと…お互いにナンパしたような…」

「おい、勇次、それはないって」


まったく面白いが勇次のそんなトコが俺は好きだ


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