流れ星になったクドリャフカ〜宇宙で死んだ小犬の実話〜

「ユリヤさん……僕は、信じてます」


 僕は隣に座るエンジニアたちには聞こえないように、昨夜と同じ言葉を囁く。


「必ずツガンとデジクは元気な姿を見せてくれますよ」


 そっと握りしめたユリヤさんの手は、微かに震えていた。


「ありがとう……ミランくん」


 ユリヤさんは僕に微笑み返す。

 フロントガラス越しに見たパラシュートは、ちょうど平原に着地するところだった。


 ドスン!

 ザリザリザリ……


 重たい音を立てて着地したロケットの先端部分は、小石と草を巻き込みながら滑り、地面に跡を残しながら止まった。

 着地するとパラシュートはしぼんで草原を覆い、そこから少し離れた場所に車が何台も停車する。


「ツガン!」

「デジク!」

「無事か?」


 わらわらと、車から皆が降り立ち、僕らも草原に飛び降りた。
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