嘘つきキャンディー
危なかった!
今の様子から、圭人さんは学校でどれだけ矢野先生が猫を被っているのかを知らないらしい。
これまで先生の本性を必死で隠してきたのに、こんな所でバレる訳にはいかない。
やたらと焦っている私にカメ男も圭人さんも怪訝な表情を浮かべているけれど、取り合えず席まで来たメイドさんに注文を済ませた。
圭人さんはアイスココア。
そして何故かカメ男も、アイスミルクを追加注文している。
コイツ、一体私にいくら使わせるつもりだろうか…。
「そう言えば圭人さん、ここのメイド喫茶来たことあったんですか?」
あの話の続きはさせまいと、私は間髪入れずに圭人さんに新たな話題を振った。
圭人さんもさして先程の話題に興味はないようで、『あぁ、』と呟くとニッコリと笑って私に向き直る。
「全然来たことないよ。
この間梓と話してるの聞いて、真名子ちゃん居るかなと思って。真名子ちゃんここでバイトしてるっぽかったから。」
「もしかして、私に会いに来てくれたんですか?」
「うん。そうでもしなきゃ、真名子ちゃんから連絡なんて当分来そうにないし。」
圭人さんはそう言うと、白のクロップドパンツのポケットからスマホを取り出して、私の前でヒラヒラと動かした。
……あ、
わ、忘れてた!!
「ご、ごめんなさい。
登録はしてるんですけど、ちょっと別のことで最近余裕なくて…。」
「あ、責めてる訳じゃないよ。
ただ、真名子ちゃんの連絡先、知りたいなって。
ダメ、かな…?」
少し眉を垂らして覗きこむ圭人さんに、私はうっとりと見つめながら自分を責めた。