ドS×刑事


『くぉらァ!!お前らァ~!!どこで道草しとったんじゃーい!!』


入ってきたのは、スラリと伸びた長身の男の人。チョコレート色の髪の毛の長髪が特徴的だ。

もう一人は、まるでモデルさんじゃないかっていうくらい綺麗な女の人だった。



....でも....

綺麗....すっごく綺麗なんだけど...



金髪だった


『だーかーらー!コイツがいつまでも菓子をチンタラ選んでたからだっていってんだろ!?聞こえてんのあんた!!』


『.......』


こ、怖い....

とても顔立ちは綺麗だが、やっぱり外見通り少しヤンキーっぽい口調だ


『何言ってる明日香!今日は新入りちゃんが来るからサボんなっていっただろー!!』






『......あ、忘れてたわ』

『あほ!!』


神谷さんと、"明日香"って呼ばれた女の人は、しばらく言い争いをしていた。

その後ろにいる男の人は、ただ面倒くさそうにこちらを眺めていた。

『…で?その子が本庁から来たっていう天才?』


『い、いえ…!て、天才とか、そーゆーのでは…!』

真顔でそんなこと言われると…照れる所か恥ずかしいよ…!

一人でうつむいていると、明日香さんがずいっと近付いてくる

(うわわ…近くで見るとますますキレイ…)

肌は卵のようにツルッとしてて、目はぐりんと大きい。さくらんぼの様な赤い唇

もうキレイの三文字では到底現しきれない程整いすぎている

『かっわいー!この子がぁ??めっちゃかわぃー!人形みたいじゃなーい!こんなウザい男達ばっかりのところに天使が舞い降りたよぉー!』

キャッキャッと嬉しそうに跳び跳ねる明日香さん

『ゴホン!取り合えず自己紹介しろよ!明日香!』

神谷さんから声がかかると、態度は一変

先程のような怖いイメージに変貌した

『あ"?んなモン分かってるわ。邪魔すんな神谷』

『上司に向かってその口のききかたはなんだ明日香ぁ!』

また口喧嘩が始まった

こう見ると、ここは明るい人たちがたくさんいるんだなーーーーと思う

『………』

この、私を睨む、ただ一人の人物を除いて。

『ふぅ…紹介が遅れたわね。私は松ヶ谷【マツガヤ】明日香。ここのメンバーの一人よ!よろしくね!気軽に明日香さんって呼んで?あ、ちなみに…歳は26よ!』

にこっと見惚れてしまいそうなほど愛らしい笑顔を見せる明日香さん

私は慌てて自己紹介した。

『ほ、本日からこちらに配属されました、き、北山恵美ともうしますっ!』

『恵美ちゃんね!もぉ!可愛いんだから~!よろしく!』

『は、はい!』


明日香さんは…本当に気さくで優しい人。

ここで唯一の同性の先輩。失礼な事はないようにしよう!

そう心に決めた



『じゃー!皆改めて自己紹介しなよ!直樹も!佑哉も!』

明日香さんが声をかけた。

佑哉…と、いう人はーーー

多分明日香さんと一緒に来た人を指すんだろう。

改めて見てみると、やっぱり凄い美形だった

『…俺は相沢佑哉。同じくここのメンバーだ。歳は27。よろしくな。』

ふわりと微笑む佑哉さん

『っ…!///』

その顔はあまりにも綺麗すぎて、一瞬どころか、かなりガン見してしまった

(こ、ここって美形ぞろいだよ…っ!これじゃあ心臓が持ちませんよぉー!)


心の中で叫んだ。佑哉さんの笑顔に見とれていたが、横から来る冷たいオーラに、体がギクッとなった。

『……あ…』

『…日下部直樹だ。…ここの班員だ。歳は22…よろしく』

とても丁寧な紹介だが…

上から見下ろされている気がして、笑顔がひきつりそうになった。

『は…はい!』

怖そうな印象。

冷たいし無表情だし、そこからは感情がまったく読み取れない

せっかく美しい顔立ちなのだ。微笑めば、とても華やかなのだろうに。

『よーしっ!自己紹介も終わったことだし!ちょっと雑談でもしよっかぁー!』


『……え!?』


あまりにすっ飛んだ事を言ったので、思わず声が出てしまった

そりゃあそうだろう。捜査一課なのだ。仕事が山ほどあるだろう


『あ、あの……!し、仕事はないんですか!?』

『え!…うーん…あったけなぁ…』

『…あるぞ、ここに山ほど書類が』

何故かあたふたする神谷班長。

それに追い討ちをかけるように直樹さんが突っ込んだ

『……あ、うん。もうちょいしたらやるよっ!』

完全に目が泳いでいる神谷班長



『お前だってサボろうとしてんだろーが!人の事言えねーだろバカ神谷!』

それに怒って明日香さんが胸ぐらを掴む

カツアゲをしてる人みたいだ…

『わ、分かったって…すまん明日香…だから離せ』

若干涙目なのは全力でスルーし、明日香さんの止めに入った

まだ文句を言っていた明日香さんに苦笑いをしていると、横から佑哉さんが話しかけてきた

『…皆こんな感じだけど…いいヤツだから…。安心していい』

意外な事を言われて、一瞬目を見開いたが、それこそ佑哉さんの優しさだと思ったら、嬉しくなった。


『は…はい!み、みなさん…とても明るいから…ここに入れて良かったです…!』

『そっか…頑張ろうね』

また微笑まれると、さらに頬に熱がはしった

今日で何度心臓が飛び出そうになったのだろうか。

『…佑哉…ここの部分だが、これはどーなる?』


ぽけーっとしていたが、苦手な人物の声がしたということで、現実にもどされた


『…っ』

何故かギチリと固まってしまう体

書類を片手に佑哉さんの元へ来た直樹さん。

身を縮ませていた。

そんな様子を見ていたのか、明日香さんが大笑いしながら抱きついてきた

『ふふふ。明日香ちゃん…そんな辛気くさい顔しちゃって~!どうしたの?あ、もしかして…直樹の無表情面が怖いのねー?』

『あ、いえ…そーいう訳じゃないんですけど…私、辛気くさいような顔してましたか?』


もし、してたら恥ずかしいなと思いながら、明日香さんに訪ねた

『えぇ。…てゆーか直樹!もうちょっとかわいーく笑えないのあんたはー!』

明日香さんは、私から離れると、直樹さんのもとへ直行した

何をするのかとその様子を見ていると、なんといきなり直樹さんの頬を引っ張った

『ほっぺの体操よ。体操。これで少しは表情が明るくなるわ』

『…余計なお世話だ』

パシッと腕をはらう直樹さん

やっぱりこわい
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