魔法のキス
良かった。
お客様に喜んでもらえて。
それから午前中に2人と午後から2人、福袋は全部売れてしまった。
「店長、良かったですね。完売して」
「ありがとう。坂口さんが来てくれて良かったわ。まさかこんなに来ると思わなかったから」
あ、忘れてた。
優美奈と千里の分の福袋……!
売れてしまったんだから仕方がないか。
3人には違う形で何かプレゼントを考えよう。
福袋も売れたので、午後4時には店を閉めた。
優美奈と千里が出勤して来るのは4日からだ。
3日まで坂口さんに来てもらって、4日は休んでもらうことにしている。
帰ってから雄馬にメールをした。
「雄馬、終わったから後で電話ちょうだい」
しばらくして電話がかかった。
「あ、雄馬。あのね今日出した福袋全部売れたのよ」
「おお、すごいじゃん!お前は経営に向いてるんだな。俺も見習わないと」
「雄馬のところは、お父さんがすごいから大丈夫よ」
「そうだな。ってそれは俺じゃダメってことか?」
「立派なお父さんの血を継いでるって意味よ」
「うーん、でもまだまだだな。もっと勉強しないと」
いつになく、深刻そうな言葉に聞こえたのは気のせいだろうか。
「早く会いたい」
「すぐに会えるよ」
「うん」
わかっていても、ふっと先のことが不安になる。
私と雄馬は、いつまで離ればなれでいなくてはいけないのか。
結婚するにしてもお互いの仕事が神戸と東京でどうやって……。
大丈夫だというハッキリとしたものは、どこにもないことを言葉に出してしまうと、すぐに壊れてしまうくらいのなんにも先の見えないものなのだ。
ちゃんと計画を立てないとダメなのではないのか?
いろんなことが頭をかすめる。
まだ考えるのは早いのだろうか。