巡り愛


「ちょっと抑えが利かなくて困ることもあるけどね」


照れ隠しなのか、冗談めかして言った圭さんが吐息を零すように笑う。
私はフルフルと首を横に振って、溢れて止まらない涙を手で拭う。


「そんなことないよ。嫉妬も独占欲も全部、嬉しい。私を想ってくれている圭さんのすべてが大好き」


涙声で告げた私に圭さんは抱き締める腕の力をもっと強くして、私の顔を覗き込むと、頬に伝う涙を唇で拭うようにキスをした。


「僕が愛したのはあいだけ。これからもずっと、あいだけだよ」


囁くように愛しげに紡がれた言葉に、私は頷くのが精いっぱいで。
力いっぱい圭さんを抱き締め返す腕に思いを込める。


「私も・・・圭さんだけを愛してる」


私の言葉を飲み込むように圭さんの唇が重なる。


何度も何度も、確かめるように互いの想いを注ぎ込むように重なる唇。




優しく甘く深く。




ただお互いを感じ合いたくて、私達は溺れるようなキスを繰り返した。




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