蓮杖探偵事務所の飄々事件簿
そんな耕介の革靴の音に混じって聞こえる、微かな足音。

「……」

聞き取っているものの、耕介は無言のまま振り返りもせず歩く。

歩いて、歩いて、歩いて。

「うおっ!」

突然仕掛けられた右ストレートに、耕介は慌ててしゃがんで回避した。

「やるじゃないか」

耕介の背後…ピーカーブースタイルで構えていた夏彦が言う。

「パンチの風切り音だけで回避するとは…喧嘩慣れしてるんだな」

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