蓮杖探偵事務所の飄々事件簿
中は相変わらず薄暗い事務所。

勝手知ったる探偵事務所とばかりに、雛罌粟は中に入っていく。

窓際の椅子。

いつもの場所に、耕介は座っていた。

今日も依頼はないらしい。

退屈そうに椅子の背凭れに体を預け、窓の外を見ている。

雛罌粟が入ってきたのに気付き。

「…びしょ濡れじゃねぇか、お前」

耕介は呟く。

「駅前を出た辺りで急に降り出しました…」

抑揚なく言う雛罌粟。

手にしたコンビニの袋を掲げて見せる。

「お弁当…買って来ました。食べますか?」

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