蓮杖探偵事務所の飄々事件簿

探偵の独白

事務所に、建物を叩く雨の音だけが響く。

普段は何を考えているのか分からない所がある雛罌粟の表情にも、この時ばかりは驚愕がありありと浮かんでいた。

「人を…殺した…?」

「ああ」

無表情に耕介は頷く。

「この手でな、殺したんだ」

ギシッと、椅子の背凭れが音を立てる。

< 131 / 440 >

この作品をシェア

pagetop