蓮杖探偵事務所の飄々事件簿

「楽しいねぇ、追いかけっこはよ」

瞳を見開き、頬に汗を伝わせる雛罌粟を見ながら、ウェンディはニタリと笑う。

「何が楽しいって、追い詰める過程が楽しい…必死に逃げる獲物、追いかける俺、一つ、また一つと傷を刻み込み、いつしか逃げられなくなるような決定的な傷を与える…獲物は命乞いするんだ…やめて殺さないで、何でもするから、お願いだから…って」

「……っ」

ジリジリと後ずさりしながらウェンディの話を聞いている雛罌粟。

「俺は問うんだ。本当に何でもするのかって。獲物は必死に頷く。どんな事でもする、何でも言う事聞くからって。それならってんで…俺は言うのさ」

強張った表情の雛罌粟の前で、ウェンディはだらしなく笑う。

「いい声で鳴きながら、俺の目の前でハラワタぶちまけてくれってな」