蓮杖探偵事務所の飄々事件簿

手負いの殺人鬼

「あ゛ぁ?」

愛らしい顔が歪む。

夏彦の言葉に、ウェンディは記憶の糸を辿った。

向こうは自分の事を知っているらしいが、はて、一体何処で…。

そう考えて、ズキンと。

ウェンディの脇腹が痛む。

かつて叩き込まれた、肝臓打ち(レバーブロー)の屈辱の痛み…。

「思い出したぜ」

手にしたククリナイフ、その刃に舌を這わせ、ウェンディはギロリと夏彦を睨んだ。

「いつぞやの賞金稼ぎごっこの正義漢だな…胸糞悪ィ」

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