蓮杖探偵事務所の飄々事件簿
夏彦の言葉に俯くウェンディ。

「いくぞ」

フットワークを駆使しながら間合いを詰める夏彦。

しかし彼の前で。

「でも…」

ウェンディは顔を上げる。

瞳を潤ませ、哀願するような少女の表情。

「私は好きで人を傷つけてるんじゃないの…殺人鬼の血を輸血されたせいで、自分でも分からないうちに人格を支配されてしまうの…」

「っ!」

その言葉に、思わず夏彦は躊躇する。

ウェンディ本人の人格が目を覚ましたのか?

そんな夏彦の隙に。

「ヒィィイハアァアァァァッ!」

ウェンディは掬い上げるようなククリナイフの斬撃で、夏彦の右脚を斬る!

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