蓮杖探偵事務所の飄々事件簿
俊平と冴子が、秘密の契約を交わしている関係である事は以前述べた通り。

彼らは耕介や他の面々が留守の時だけ、この事務所で時折その契約を果たしている。

『それ』は情事に及んだ後、新しいものに穿き替えた冴子がそのまま置き忘れたものだったのだ。

「な、南部さん!見ましたっ?見てないですよね?見てないですよねっ?」

耳まで赤くなってまくし立てる冴子。

「ち、ちょっとだけしか見てない!ホント、ちょっとだけだから!」

同じくまくし立てる夏彦。

「お、驚いた…俺はてっきり雛罌粟ちゃんのかと…」

呟く夏彦に。

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