蓮杖探偵事務所の飄々事件簿
そんな彼らの輪の中に。

「ぎゃっっっ!」

工場の鉄扉を突き破って、一人の男が吹っ飛ばされてきた。

外で見張りをしていた男だ。

工場の汚れた床に仰向けに引っ繰り返った彼の顔は、鼻があらぬ方向に曲がり、白目を剥いていた。

「なっ!」

「どしたんだオメェ!」

口々に叫ぶ若者達の前に。

「…………」

オープンフィンガーグローブをつけた、長い前髪の青年が姿を現した。

「意外だな…こんなナヨナヨした連中が俊平君をリンチしたのか」

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