蓮杖探偵事務所の飄々事件簿
「んぎゃっ!」

夏彦の地を這うようなアッパーカットを食らわされ、もんどりうって倒れた。

「なっ?」

驚いて立ち上がる他の男達。

そこには。

「こんな隠し部屋があったんだな」

バスタブを潜って推理通りの地下水路を通り、この部屋に辿り着いたずぶ濡れの耕介達が立っていた。

「おーおー、そんな化け物のメイクまでしてご苦労なこって…」

おどけた様子で耕介は雛罌粟に視線を投げかける。

「お楽しみのとこ邪魔したか?」

「……久し振りに燃える展開だったのに…」

台無しにされた事に落胆するように、雛罌粟はムクリと起き上がった。

「さて…」

拳を鳴らし、夏彦と並び立つ耕介。

「洗い浚い喋るのと、喋りたくなるまで半殺しにされるのと、どっちがいい?」

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