岸栄高校演劇部〆発端

結局、3人分のジュースをおかわりしにコップ3つを器用に持ってドリンクカウンターへきた俺。


ええっと、ハルちゃんが桃ジュースで俺とエイジがコーラな。


ボタンを押して自動的に注がれるジュース。待っている間、俺は明日からの活動に心のどっかでワクワクしてた。


集まらなかったらドーシヨー、とか。
クラスの連中にからかわれるカモーとか。


そういった不安よりも、さ。やっぱ憧れの演劇部のために活動できることが何よりも嬉しいんだ。


あのときの『天使』は今でも覚えている。とっても綺麗な、笑うと目尻がキュッてなる女の人。


ほんと、『天使』に惚れそうになったんだぜベイベー。


…………なーんて考え事してたからかな、ちょうど後ろを通っていった人とぶつかっちまった。


「わっ、すみませ…」慌てて後ろを振り向くと。



「あ?…ったく、ボーッとしてんじゃねえよ」



がっつりキンパ不良ボーイがそこにいた。コエー。


しかもチッて舌打ちするなり、早々とここを立ち去っていきやがった。れ、礼儀の『れ』も知らんのかっ!


しばらくポッカーンとつったってた俺だけど、ハッとして3つ分のコップを持って二人の待つテーブルへと急いだ。


別に、もう関わることのない不良のことなんてどうだっていいじゃんか。関わるだけ無駄ムダ。


関わっても、イイコトなんてないのだから。


頭を振って二人に「お待たせ」と言ってコップを渡す。


そのときの俺は、うまく笑えていただろうか?


演劇部活動へのワクワク半減、代わりに言い様のない不安が俺の胸ンなかを占めてたことは、二人には秘密。


さ、明日から部活動がんばりますか!

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