恋は盲目ってやつですよ

何をしだすのかと橘が動きをとめ、俺を真っ直ぐ見つめた時を狙って。



「先輩、どうし…………っ」


「~~っ、おおおおお俺だって男なんだからなっ!」



苦しい態勢からの、男のプライドなんてこれっぽっちもない軽いキス。それこそ後輩の言うように『“女の子”のするような“可愛い”キス』である。


ちゅっ、とリップ音がやけに大きく聞こえるも、それも一瞬。


俺のファーストキスは一秒もかからず終わった。


多分おそらく、いや絶対。俺の顔は茹であがったタコのように真っ赤だろう。


恥ずかしさのあまり、ぷるぷる震えながら俺は顔をそらした。


情けない…っ、これでは受け男というよりヘタレに近いではないか!

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