Cold phantom

健やか青年

何もないと言う言葉があるとすれば、それは何もかもが曖昧で存在そのものが全て不明瞭な事を指すのかも知れない。

よく、白い世界や暗い世界で例えられるけど、そうじゃない。

色々な物がある筈なのに、私はそれを物と認識出来ず、白とも黒とも認識出来ないまま、ただふよふよとその世界を映画の様に傍観していた。

人はそれを夢と言った。

一人称視点で繰り出される、曖昧な三人称の茶番劇。

その茶番劇の主人公は物体を見つめていた。

それがなんなのかは解らない。ただ…

「…」

響きのない言葉のような物を発し、そして…
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