いつも同じ空の下で


冷たい空気を引き裂くように、星野さんの低い声が聞こえた

ゆっくりと顔を元に戻して、星野さんの顔をじっと見つめた




「いつもどこにいても、心はどこか遠くにない?」

「遠く・・・?」

「お前の目には誰が映ってんの?」




私と向き合う様にして立っている星野さん

じっと私の目を見つめる、真っ黒な瞳


何もかも見透かされている気持ちになる

きっと星野さんに嘘は通じない

そんな気がした



――だから正直に話した



「―――私の心は・・・今もずっと遠くの人の所にあるのかもしれないです。届く事はないですけど」



自分でも、どうしようもない心

自分でも、自分が分からない


何も言わない星野さんに、今にも泣きそうになるのを誤魔化して笑顔を作った



「私、ずっと忘れられない人がいるんです。その人はもう・・・他に好きな人がいるんですけど、諦めきれないんです」



星野さんの顔を見れなくて下を向いた

途端に涙がポタっと地面に落ちた



自分の気持ちを誰かに話したのは初めてだった

ヨシキが他の子を好きな事も――



「忘れたくても、どうしても忘れられなくて。辛くて、悔しくて、もう・・・わけ分かんないんです」



言葉と一緒に涙が溢れる

我慢していたものが、溢れ出る
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