不滅の妖怪を御存じ?

お菊












「最悪だ」


この上なく不快そうな顔で千秋がそう呟いたのは、藍の尋問が終わった後だった。


「何が?」

「……」


藍が聞いても何も答えない。
しかしチッという舌打ちとともに睨まれた。


「壱与が死んだ」

「え?」

「九木に負けたんだよ」


こめかみに手を当て千秋はじっと考えている。
藍はダンの肩をぐっと抱いた。

五分五分だと、楽観的に考えていた部分もあったのだ。
千秋も、藍も。
けれど、結果は悪い方に傾いた。

ダンが持っているのは願いの口だけで、あとの能力は壱与が持っている。
一回こっきりの願いの口の能力などなくても、牛木の能力であれば九木に勝てるかも、とどこかでそう考えていたのだ。




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