外で桜が舞っている

 歯噛みしたリリコを見透かし、ユエリも空を仰ぐ。

 「闇が嫌いなら呼べばいい。いつでも」

 ミズキの名を呼んだことを咎めたりはしない。それでもユエリの瞳の奥に宿る熱い炎にリリコは目を逸らした。

 「どこでも?大雨の中何時間も人の家の下で待ってるから?」

 ユエリが小さく微笑み、Tシャツの裾を親指と人差し指でつまみ上げた。
< 3 / 6 >

この作品をシェア

pagetop