anjel









「みっくん…?」


声をかけるけど、彼に届かない。


なぜなら。


『〜♪』


ギターを弾きながら、聞いたことのない歌をうたっているから。


初めて聞く曲…


でも、すごく心地良いメロディー。


『ジャーン…』


歌い終わったみっくんに、拍手を送ると。


「え!?幸望ちゃんいつから!?」


「わりと最初の方から…」


「うそ!?恥ずかしー…」


片手で照れ臭そうに頭をかくみっくん。


年上とは思えない可愛さに、思わず笑みを浮かべる。


「今の曲、新曲ですか?」


「…ううん。俺が勝手に作った曲」


うそ。


「すごくよかったですよ!!」


そう言うと、みっくんは嬉しそうに笑った。


「ありがとう」


「あ、水持ってきたんです。はい」


手の中にある、汗をかいたペットボトルを渡すと、


また優しく笑う先輩。


「ちゃんと水分とらないと、熱中症になりますよ?」


私がそう言うと、みっくんはペットボトルを一気に飲み干した。


「そうだね。…大学も夏休みだけど、やっぱり課題とかバイトとか忙しいから、みんなと練習出来る時間短いし、ちょっと焦ってるんだ。」


「だから、休憩時間もずっと練習を…?」


「…うん。」


そうだったんだ……










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