anjel







そんなある日。


「ほんとか!?瑞希!!」


「うん、本当だよ」


みっくんから呼び出しを受けた私たちは、813号室にいた。


話の内容は、


みっくんがアメリカの病院に転院することが決まったことだった。


「ひとまずあっちに入院して、そこからドナーを待つことになった」


「すぐに見つかるといいですね」


私の言葉に、微笑むみっくん。


私もあれから心臓移植について調べたんだけど、


ドナーを待っている人は大勢いるのに、


そのドナーが少ないのが現状。


だから、アメリカに行っても、


すぐには見つからないかもしれない。


それでも、私はもちろんみっくんは、


希望を捨てずに信じている。


すぐにドナーが見つかって、


手術も成功して、元気になって、


また、みんなでバンドが出来るって…


「…出発はいつだ?」


翔がそう聞く。


「けっこう急で、3日後なんだ」


「3日後!?もうすぐじゃん!」


「3日後の、朝一でここを出るから、会えるのは前日までかな…」


「てことは、明々後日か…はやいな」


みっくんの言葉に、亮くんと奏ちゃんが驚く。


私も、表情には出さなかったけど、


焦っていた。


何せ、まだ作曲が出来ていない。


明々後日までに作らないと……









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