インストール・ハニー
 色とりどりの紙とかビニールに包装されて、袋いっぱいの花火。一海のお兄さんが用意してくれていたらしい。

「バケツに水あるから。気をつけてやんなさい。あたし達は戻ってるから」

 ママさんがそう言って花火の入った袋をくれて、オーナーさんが楓にバケツを渡した。
 海にはもう入らないように。そう念を押される。もう薄暗くなってきたからね。海水浴は終わり。

「4人だったら2人に分かれてロケット花火打ち合うのに」

 一海が袋を物色しながら言った。怖いこと言うな……。

「危ないから。やだそんなの」

 普通の花火を取り出して、ライターで火を点けた。

「綺麗だな」

 パチパチと音がして、火の粉が飛び出し、とても綺麗。夏だなー。コンビニとかに行って花火が並び出すと「ああ、もうそんな時期か」って思う。もうだいぶ暗くなってきていて、光があたりを照らす。砂浜では、あたし達からずいぶんと離れて、同じように花火をするグループが居た。


「楓もやりなよ。どれでも良いよ」

「じゃあこの大きいの」

「落下傘」

 筒状の花火を砂で固定して、火を点けた。シュッパンッという音がして、空で小さく火の花が開いた。

「あ、ほらほら、落ちてきた落下傘!」

 一海が空を指さすと、想像より大きめのパラシュートが降りてきた。

「取れー!」

「うおー!」

 少し離れたところに落ちようとしている。楓は走り出し、ふらふらと舞い降りるパラシュートをダイビングキャッチした。

「取った!」

 Tシャツを砂だらけにして、すごい笑顔。

 これそういう花火じゃないけど、楽しいから良いか。

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