君しかいらない~クールな上司の独占欲(下)
突然、堤さんがおかしそうに吹き出した。

了解、と言って、私に受話器を差し出す。



「代われって」



過保護だね。

保留にもせず、あえて、電話の向こうに聞こえるような声でそう言い。

大塚です、と私が出た時には、もう自分の席へと向かっていた。



『お前、本当に大丈夫なのか』

「わかりません…」



声を聞いて安心して、思わず、ため息のような本音が洩れる。


怖かった。

堤さんが、何を考えているのか、わからない。


助けて、と言いたいけれど。

何から? と自分でも思う。


何かあったら言えよ、と念を押されて。

電話は切れた。



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