Catch-22 ~悪魔は生贄がお好き~
「そういえば、昨日、黒羽、部に出なかったでしょ?」
「いつものこと、らしいっスね」
「何か色々溜め込むタイプらしくて、たまに倒れたりするんだよ。まあ、昨日のは多分、俺のせい。っていうか、昨日に限らず、何回かは本当に俺のせい」
「は?」

 圭斗はつい間抜けな声を出していた。
 彼の早退はよくあること、嵐は彼をヘタレと言い、紗綾は繊細だと言う。
 どちらも間違いではないだろうが、紗綾以外に彼を繊細などと言う人間はいないだろうと圭斗は思う。
 しかも、早退の原因が自分だと思っているのだ。それなのに、この男は何を言い出すのか。

「俺がちょっと文句を言った日に限って、直後に早退するんだよ。もし、どこかにハゲがあったら間違いなく俺のせいだと思って、お詫びに育毛剤を送ったこともあるんだけど」
「それ、ただの嫌がらせじゃないっスか」

 絶対にちょっとどころじゃない。
 圭斗はそう思っても口にはしなかった。
 口にすれば面倒なことになることはわかっている。
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