Catch-22 ~悪魔は生贄がお好き~
「でも、私は、久遠さん達のことも怖くないわけじゃありません」

 こうして向き合っている久遠でさえ、何を考えているかわからないところがある。

「うん。きっと、そうだろうね」

 怒るわけでもなく、悲しむわけでもなく、久遠は微笑んだ。
 君は違うと言われているような気分になるが、同じことを自分も言っているに違いないのだ。

「俺もね、『久遠君って何考えてるかわかんなーい』ってよく言われるよ。実の弟にさえ変な目で見られるし……」

 急に久遠は沈み込む。

「く、久遠さん……」
「ごめんごめん、過去の何やかんやがね……走馬燈的なね……いいや、でも、俺達が怖いっていうのは、当然だと思うよ。散々、もう将来のスタッフとか、家族ぐらいの気分で、色々お願いしちゃったし」

 彼らを恨んでいるわけではない。
 どうしたらいいか、わからない板挟み。
 何か言葉をかけてほしいはずなのに、何を言ってほしいのかわからない。

「今まで、ありがとね」

 それも違う。彼らと過ごした時間に罪があったわけではない。
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