Catch-22 ~悪魔は生贄がお好き~
「……とりあえず、着るの手伝ってくれる?」

 本日、三度目の溜息を吐いて、香澄はその議論をやめにしたようだ。

「何か将也先輩イメージ違うね。噂だからかな?」

 香澄の着替えを手伝いながら、紗綾は小声で聞いてみた。
 嵐について部とクラスでのイメージが違うのはわかっている。
 だが、表裏があるからであって、将也にはないはずだ。

「大体、合ってると思うけど。あの人、どこぞの策士以上の腹黒大魔王だから」

 そう答える香澄はどこかうんざりした様子だった。

「は、腹黒大魔王……」

 紗綾にとって将也は大天使だ。腹黒大魔王とは真逆である。それではまるで十夜の上を行くようでもある。
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