Catch-22 ~悪魔は生贄がお好き~
 着替えを終え、散々、髪や顔をいじられた後、紗綾は校内を彷徨い歩いて。
 そうしていると、何度か声をかけられる。その度にクラスの場所を告げ、いつの間にか昼が近付いていた。
 そんな時に将也から連絡があり、待ち合わせをしていた。

 彼もそのままの衣装で来たようだ。
 白を基調とした優雅な服は確かに王子だ。
 しかし、微笑みではなく、申しわけなさそうな表情を浮かべている。

「ごめん、着替えてくるのが面倒でそのまま来たんだけど、別の面倒があってね……」

 今の将也はそこにいるだけで視線を集める。
 人混みを抜けてくる中で随分と苦労があったらしい。
 つい先ほど、紗綾に手を振ったところで、女性に声をかけられていたくらいだ。
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