Catch-22 ~悪魔は生贄がお好き~
「……あんたって、ほんと変な男に好かれるわよね。まあ、会わなきゃいいのよね。一年でしょ? 私が全力で遠ざけてあげる!」

 避けてしまうのは申し訳ない気もする。でも、近付くのは怖い。
 いつでも香澄が側にいれば上手くやってくれるのかもしれないが、紗綾は放課後が不安だった。

「でも、黒羽部長が喜んでたし、先生と面接してたからサイキックかもしれないし……」

 サイキック、その言葉に二人は顔色を変えた。
 本来オカ研の悪魔二人が欲しがる人材はそれだ。彼らもそうだからであるが、信じていない生徒も多い。
 香澄もまた認めたがらないが、わかってはいる。
 将也は兄将仁のことがあり、彼らのこともある程度は理解しているからこそ、その一言で通じる。

「あんたさ、絶対お祓いしてもらった方がいいって。いや、でも、絶対、あいつらの邪念の方が強い! ああ、もうっ! サイキックなんて大嫌い!」
「落ち着きなよ、田端君――まあ、困ったことがあったらいつでも相談してね」

 憤慨する香澄と父親というよりは母親のようにも思える穏やかな将也を交互に見ながら紗綾は笑ってみた。

「大丈夫ですよ」

 大丈夫、きっと大丈夫。
 紗綾は何度も自分に言い聞かせる。
 今度こそ逃げてはいけないのだと自分を叱咤しながら。
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